2017年10月15日日曜日

人と人

一昨日、よく行くご近所のカフェにいたときのこと。

この日は町がピンクに染まる。
美しいイスタンブールの夕焼け。

外で何かが倒れる音がしたので見てみると、人の足と杖が見えました。
飲んでいたお茶を置いて外に出て見ると、近所に住むおじいさんが道ばたに倒れていました。
しかも、足が悪い人には不向きなサンダルで、上半身は下着、履いているズボンも脇が破れています。

私以外にも2人の女性がおじいさんに駆け寄り、起こそうとしましたが、おじいさん、「いい、いい、自分で起き上がれるから」の一点張り。
女性や外国人に助けられるのがイヤなのかもと思い、カフェのオーナー(男性)を呼ぶと、向かいのカフェからも男性が出て来て、おじいさんを抱き起こしました。

おじいさんは、向かいの通りにある『バッカル』という、日本で言うコンビニみたいな小さなお店に行きたかったようです。
お酒を買いに。

そのおじいさんはそのカフェの通りにあるアパートに住んでいて、ご近所の人と窓越しに話してる?揉めてる?のを夏に何度か見かけたことがあります。
暑い最中、ということもあって、上半身はいつも裸。
そしてとても痩せていて、肌の色も悪い。

カフェの人に聞くと、おじいさんは一人暮らし。
お金持ちなので、恐らく子どもたちはアメリカに住んでいるようだ、とのこと。
食べるものもきちんと食べず、昼間から酒浸りのようで、この日も抱き上げたカフェのオーナーによると「お酒臭かった」そう。

大都市イスタンブールといえども、ご近所付き合いが濃厚な私が住む地区でこのような孤独なお年寄りを見ることは珍しいことだと思いましたが、おじいさんを見ていてとても頑なな印象を強く受けたので、ご近所さんも段々と離れて行ってしまったのかもしれません。

寂しいなぁー

また、先週、連日朝早くーロッパ側に行く用事があり、プチ『電車通勤』を体験したのですが、そのときに気がついたのが、席を譲らない人の多いこと!
これまでいたるところで年長者に席を譲ったり、荷物を持ったりするのを手伝うのを見るたびに、その光景がとてもあったかくて、「トルコ人っていいなー」って思っていたのに、それがめっちゃ少ない!

以前日本に旅行に来たトルコ人が、「日本人は何故、電車やバスの中で年長者に席を譲らないのですか?トルコでは誰もが席を譲ります」というのを聞いてとても恥ずかしく思ったことを思い出しましたが、それから数年たった今、イスタンブールでも同じことが起きています。

イスタンブールでも、人と人との繫がりが希薄になってきているのでしょうか。
何だか、寂しいなぁー

で、先ほどのおじいさんの話し、少し続きがあります。

おじいさんを抱き起こしてバッカルに引き渡したカフェのオーナー。
おじいさんのことを繰り返し声高に批判しながら、コロンヤで手や洋服を拭っていました。

まあ、昼間から酒臭い、頑ななおじいさんに対し愚痴が出るのは分かるんですが、私が引っかかったのは、コロンヤ。

このコロンヤ。
エチルアルコール80%に香料が入っているのですが、除菌やリフレッシュしたいときによく使われます。
私の感じ方なのかもしれませんが、おじいさんに触った自分の手やおじいさんに触られた洋服の部分などをコロンヤでひっきりなしに拭いているのを見て、何だかおじいさんが『汚いもの』のように扱われたように思えて、悲しくなってカフェを出ました。

誰しもみんな平等に歳を取ります。
そしてそのとき、自分がどんな老人になるか、健康な今は分かりません。
昼間から酒浸りになるおじいさんにも、そうなってしまう理由があるのです。

私も、自分がおじいさんの歳になったとき、どんな歳の取り方をしているか分かりません。
でも在りたい自分で在れる今は、人の心に寄り添える心の余裕を、私は持っていたいな、と、そんなことを考えさせられた出来事でした。


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2 件のコメント:

  1. お年寄りに優しい社会はいいですね。
    でも、そういう社会はたぶん、お年より自身が非常に謙虚な気がします。
    相手が謙虚だと、こちらも尊敬と優しさをもてるのかしら・・・と最近
    思うところがあったりします。

    ああ、オーナーさんがどういうつもりでそのコロンヤを使ったのかは推測ですが、もしかしたら、飲食業を営んでいるので、周りの客の目も有るからわざわざ目に付くところで消毒という手に出たのかもしれませんね。推測だけどね。。。

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    1. 黒猫一家の母さま、
      いつもコメント、ありがとうございます。
      お返事がすっかり遅くなってしまってごめんなさい!

      そうですね、カフェのオーナーがコロンヤを使った理由は私が想像していたものとは違うかもしれませんね。
      そしてまたお年寄りの謙虚さについても同感です。
      実はトルコは謙虚なお年寄りが、保守的な人ほど少ないように感じます。正直な話し、席を譲るしても、手を貸すにしても、保守的な特に女性ほど、『当然』という態度が伺えます。
      そういうときは、何だか悲しくなりますが、私もそういうお年寄りにならないよう、感謝の気持ちを忘れずにいたいって思いますねー

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