2014年11月30日日曜日

Misafir -- お客さま

この週末、我が家にお客さまがいらしたのですが、イスタンブールにも昨日、あるVIP(死語?)のお客さまがありました。
その方は、現ローマ教皇のフランチェスコ一世。

テレビでのライブ中継

我が家のお客さまとは、イタリアからの帰りに遊びに寄ってくれた日本の友だち。
その友だちと、昨日のお昼すぎにエミノニュでフェリーを降りようとしていたとき、船内のテレビでローマ教皇が丁度アヤソフィアを出るところをライブ中継していました。
船を降りると、空には数機のヘリコプターが飛び、沿道にはお巡りさんがいっぱい!
通りすがりのおばさんが、「今日は何かあるの?」とお巡りさんに聞くと、「パパが来るんだよ」と。
パパ (Papa)とは、英語のPope、つまりローマ教皇を意味します。


でもそこはやはりイスラム国。
おばさんは、ふーんと言ったきりで、私たちの他には誰も足を止めません。
アヤソフィアからエミノニュまでは車ですぐだし、一般車が急に来なくなったので、間もなくここを通るのではと、私たちはその場で少し待つことに。

お巡りさんの目が一斉に、カメラを向ける私に!

きさくなお巡りさん二人と話していると、「通行するな!」とアナウンスするパトカーが来て、黒塗りの車が十数台、目の前を通り過ぎて行きました。
どの車も窓がスモークガラスになっているのと、おまけに私は目が悪いので、ローマ教皇がどの車に乗っていたかはっきりと分からないまま、車は通り過ぎてしまったようでした。
お巡りさんによると、この後、イスティクラール通りにある、聖アントワーヌ教会を訪問するとのこと。
そう言えば、しばらく前にこの教会を訪れたとき、ローマ教皇ののぼりがあったことを思い出しました。

エジプシャンバザールの近辺は大混雑。
歩くのも大変です。

ローマ教皇を見送った?後、私たちがまず向かった先はエジプシャンバザール。
その数日前に寄ったときは寒さもあってかガラガラだったバザールも、寒さも緩み、雨も止んだ昨日は沢山の人で賑わい、それはまるで日本の通勤ラッシュのよう!

エジプシャンバザールで、オイルやスパイス、石鹸などを買った後は、私のお気に入りのカフェ、Coffeetopiaへ!
ここはスタッフの対応が本当に気持ち良くって、この日も美味しくコーヒーをいただきました。
2階の窓際の席からは、エミノニュの喧騒も『静かに』見ることができ、ぼんやりと時間を過ごすにはもってこいの場所です。

CoffeetopiaのLatte。
美味しい♡

そしてその後は、オスマン帝国の建築家であるミマール・シナンが設計した、リュステムパシャモスクへ。

リュステムパシャモスクの入り口の壁面。
イズニックタイルが美しい。
祈る男性たち。
壁面も美しいイズニックタイルで装飾されている。

1561年から1563年にかけて建設されたこのモスクは、小さいながらも膨大な量の美しいイズニックタイルで有名。
外壁だけでなく、内部のミフラーブや円柱など、いたるところに美しいイズニックタイルが装飾されています。
これは後から調べて分かったのですが、入り口のポーチからエントランスの部分にかけては、初期のダマスカス陶器の配色の特徴である、セージグリーンやダークマンガンパープルで装飾されているそうです。

赤と青の配色は、私の一番好きな配色。

左側の格子の扉の向こうでは、女性たちが祈りを捧げています。

天井も手を抜いていません。

またこのモスクは、商店街の2階に建てられているため、商店街に入居している店舗の賃料がモスクの維持費に充てられているそうです。

最後はやっぱり、Hafiz Mustafaへ!

エミノニュへは何度も行っていますが、いつも何か用事があって行くことばかりで、こんな風にゆっくりじっくりエミノニュを歩いたのは初めて。
友だちのお陰で、とても楽しい一日を過ごすことができました。

夕暮れのYeni Camii。
イスタンブールも日が暮れるのが早くなりました。

ありがとう、Mさん!


2014年11月27日木曜日

Espresso and Turkey -- エスプレッソとトルコ

今日は用事があってエミノニュへ。

エミノニュへ行くなら、絶対にあそこに行かなくちゃ、と用事を済ませて向かった先は、Coffeetopia


私は特にコーヒー好きと言うわけではないので、家でコーヒーを飲むことはほとんどありません。
でも、カフェでコーヒーを飲むのが好きなので、外出するとカフェに寄るのが楽しみの一つ。
外出先で飲むコーヒーは、大概エスプレッソかカプチーノ。
日本にいたときはブレンドばかり飲んでいましたが、ヨーロッパに行くようになってからは、エスプレッソが大好きになりました。

お店のスタッフの対応はとっても良い!
とても流暢な英語も話してくれます。

エスプレッソとは、イタリア語で『急速』という意味。
短時間で抽出されることから、それがこの呼び名の起原と言われているそうです。
コーヒーがヨーロッパで広く飲まれるようになったのは、17世紀前半。
当時地中海貿易において主導的な役割を果たしていたヴェネツィアの商人によって、コーヒーはヨーロッパ各地へと広まって行ったそうです。

バリスタのお兄さんに、「この写真、ネットで使っていい?」と聞くと、
別のギャルソンが、「もちろん!」と(笑)
しかし、トルコではそれより前の1517年、当時のオスマン皇帝のセリム一世によるエジプトに遠征の際にコーヒーがオスマン帝国に伝わったと言われているようです。
オスマン帝国は国際貿易を奨励していたと言われていますから、コーヒーは、トルコから(正確にはオスマン帝国から)ヴェネツィアの商人を介してヨーロッパへ広められた、ということでしょう。

今日はカプチーノ。
私はお砂糖を入れませんが、
イタリア人もフランス人もお砂糖を入れる人が多いように思います。

今のようにコーヒーを淹れる道具がなかった当時、人々は、細かく挽いたコーヒーの豆を手鍋で煮詰め、その上澄みを飲んでいたそうです。
これは、まさに今のトルココーヒーと全く同じ!
恐らくヨーロッパへも同じ淹れ方が伝わったものの、人々の好みや工夫によって改良され、そこから出来あがったものがエスプレッソと言われているようです。
エスプレッソと言えばイタリアやフランスが起原、と思っていましたが、その起原が意外や意外、トルコにあるとは、驚きでした。

ストーム・トルーパーがいっぱい!

最後の写真は、ここ最近で一番驚いたカフェ。
入ってみたい気もするけど、ストーム・トルーパーがいっぱいで落ち着かないかも。

Coffeetopia
  Eminonu Hobyar Mah. Arpacilar Caddesi No. 8, Istanbul
  Open: 7AM to 10PM
  URL: http://coffeetopia.com.tr/

2014年11月26日水曜日

Rainy Day -- 雨の日の過ごし方

雨の日は、仕事はほどほど、家のこともそこそこにして、猫たちと過ごすことにしています。

そうすると、こんな写真が撮れたりします。
シンクロ、3連発。




猫たちが座っている白い物体は、コンビと言う暖房器具で、この中をお湯が通っていて温かい。
お湯の温度は調整出来て、我が家では大体いつも40度くらい。
だからこの上に乗っかっても、火傷しないのです。

ふわっふわ。

この2匹の猫は昨年の夏、日本から一緒に来ました。
2匹とも、別々の時期に当時住んでいた家の近くに捨てられていた子。
神奈川県の小さな町から、まさか、イスタンブールに来るとはねぇ。

尻尾の長い子は12歳、短い子は11歳。
これからも、沢山食べて、沢山寝て、沢山遊んで、元気でいてくださいな。

2014年11月25日火曜日

Olive Oil -- オリーブオイル

オリーブオイル、というと日本ではイタリア産やギリシャ産が主流なようですが、実は同じ地中海にあるトルコもその生産量は世界第5位。

このオリーブの木は恐らく樹齢500年以上。
オリーブの木は形がみな個性的。

カズダーに住む私の友だちも、夏の間経営しているキャンプ場にオリーブの木を沢山持っていて、我が家で使うオリーブオイルはその友だちから譲ってもらっています。
今年の7月に、オリーブがどう収穫され、オリーブオイルになっていくのか興味があると友だちに話したところ、「11月中旬以降に来れば、収穫からオリーブオイルを作る工程を全部見せてあげるよ」と言われ、この週末に行ってきました。

まずは山に行ってオリーブの実の収穫です。

ここからまず、枝やゴミを取り除きます。

細かい編み目の敷物をオリーブの木の下に敷き、木に登った人が枝を揺らしたりしてオリーブの実を下に落とします。
下に落としたオリーブがある程度の量になったら、枝や葉を取り除き、25キロほど入る袋に入れて行きます。

そしてオリーブの実の大きさを選定します。
選定機に収穫したオリーブを入れると、小、中、大の順番に機械の溝の大きさで下に落ちるようになっており、小はオリーブオイルに、中はオリーブの塩漬けに、大は中に詰め物をするオリーブに使われます。

大きさを選別する機械。

選別されたオリーブの実。
これはオイル用。

そして小さなオリーブの実を持って、いよいよ工場へ。
連れて行ってもらった工場では、石臼を使った伝統的な方法でオリーブオイルを圧搾しています。
その方法は、まず石臼でオリーブの実を潰すところから始まります。
すり鉢状の大きなステンレスの桶の中で、大きな石臼が二つ、休み無くオリーブの実を潰しています。
そしてそのオリーブペーストは、手作業でトウモロコシの皮で作ったマットに入れられ、そこからオリーブオイルを圧搾していきます。



石臼で挽く工程は今は機械ですが、
かつては動物を使っていたそうです。

マットに詰めて行くのはすべて手作業。
相当な労働力です。

通常ここでマットを圧縮し、オリーブオイルを抽出します。
これが、コールドプレスのエキストラバージンオリーブオイルです。
そしてコールドプレスで一度搾ったのち、お湯をかけて再度圧搾します。
これがホットプレス、もしくは二番搾り、と言われているものです。


コールドプレスの後、ホットプレスするために
お湯をかけているところ。

しかし、この工場では、コールドプレスする前に抽出されるオリーブオイルというものがあるのです!
このオイルは、重ねたマットから自然に押し出されてくるもので、マットの重み以外の余計な圧がかかっていません。そのためえぐみがなく、とてもさらさらしています。
口の中に入れると飲み込む前に口の中で吸収されてしまうほど軽く、肌にぬってもべたつくことは全くありません。
それはまるで水のよう!

このオリーブオイルは非常に少量しかとれないため、ほとんど市場に出回らないか、出回ってもとても高価なものです。
毎日沢山のオリーブオイルを食べるトルコ人でさえ、このオリーブオイルの存在を知らない人の多いこと。
そんな貴重なものをいただける私は、本当にラッキー!

搾り立てのオイルは左のように茶色ですが、
しばらく置くと、美しいオイルが上に浮き上がって来ます。
これを濾して、製品として出荷されます

自然抽出、コールドプレス、ホットプレスと3つの方法で抽出されたオリーブオイルは、それぞれ大理石で出来た専用のプールに溜められ、食用に適さない苦い部分が下に沈殿するのを待ち、その後オイルの部分を濃して瓶や缶に詰められます。
食用に適さない部分は、石鹸などに使われるそうです。

この日の圧搾を待つオリーブの実。

そして油を搾りきったオリーブのペーストは、ホットプレスの際に使うお湯を沸かす燃料となるそうです。

ホットプレス後のオリーブのかす。
もう油分はほとんど残っていません。

ペーストのかすは、ホットプレス用のお湯を沸かす燃料に。
工場内の室温は10度あるかないか。
オリーブオイルが圧縮される場所は、工場内で一番寒いところにあります。

工場はかなり機械が取り入れられていましたが、それでもまだまだ人の手が沢山入っており、シーズンということもあって、工場全体が活気で溢れていました。
しかし一方で、その後に行った完全にオートメーション化された工場は、無機質で活気を全く感じられませんでした。
分かる人が食べれば、同じオリーブオイルでもきっと違いを感じることでしょう。
たとえ高価であっても、伝統的な手法がいまだに守られているということは、その方法の方がより美味しく、また栄養価も高いことを、地元の人は知っているのだと思います。

村に帰る途中、オリーブの実を収穫する親子に遭遇。

おじさん、写真撮らせて!と言うと、いいよ!と。
中々様になってますね〜

今回は本当に貴重な体験をさせていただきました。
そんな経験をさせてくれた友だち、工場のみなさん、ありがとうございました!

今回分けていただいた貴重なオリーブオイルも、大切に美味しくいただきます!

2014年11月24日月曜日

Late Autumn in Kazdağları -- 晩秋のカズダーへ

この週末は、友だちと晩秋のカズダーへ行ってきました。

今回はバスではなく飛行機で。
イスタンブールは雨だったけど、カズダーはこの通り晴天!

今年の7月以来、今回で4回目のカズダー。
2ヶ月前に行ったときは、山を歩いていると汗ばむほどでしたが、今回はすっかり秋も深まり、、、というか、思っていたよりカズダーはずっとずっと寒かった!

友だちが夏の間経営しているキャンプ場。

カズダーの雲はとっても不思議。

山の湧き水。
山からの恵をいただきました。

それでも、招いてくれた友だちの家でお世話になり、友だちの持っている山の土地でオリーブを摘んだり、山を散歩したり、トルコの家庭料理を一緒に作ったりと、とてものんびりと村での時間を過ごして来ました。

デジカメでもこんな夜空が撮れてしまうほど、
星の数がハンパない!
天の川はもちろんのこと、星雲も肉眼で沢山見えました。

また土曜日は新月と重なって、私たちが到着した午後は少し雲が出ていたものの、夜には雲もすっかり晴れ、寒さも忘れて美しい星空を見ることができました。
流れ星もいくつ見たことか!
カズダーは、トルコ一空気が綺麗だと言われているので、尚更かもしれません。

木々も冬の準備。

手前の紅葉している木はザクロの木。

太陽が出ていると温かいけれど、陰ると山からの風が冷たい。
この日は気温は10度に届いたか、届かないか、といった感じ。

日曜日は、伝統的な方法でオリーブオイルを搾取している工場を見学させてもらいました。
私が普段いただいているオリーブオイルは、この伝統的な方法で搾取されたもの。
友だちから話しには聞いていたものの、実際こんなにも人の手がかかっているのだと知って更に感動!
単に『食べる』というより、『いただく』という言葉がより相応しいと改めて思いました。

カズダーの猫は人懐っこくない、野性味溢れる子たちばかり。

このオリーブオイルについては、また次回!

2014年11月22日土曜日

Kedi -- 猫という生きもの

この夏、パリ、ロンドンに旅して気がついたこと。

それは猫が外の通りを歩いてないこと。
思い返してみたら、ヴェニスにもいませんでした。

スルタンアフメットにある考古博物館の猫。

それとは逆に、イスタンブールには通りで暮らす猫が沢山います。
ここに住み始めた頃は、その数の多さに驚いたけれど、今ではそれはいつもの光景。
だから逆に、外に猫が全くいない風景のほうが、不自然にさえ感じてしまいます。

うちの近所の猫。
猫は『媚びる』反面、必要がないときはこの通り、そっけない。
でもこれも猫の魅力。

欧米諸国や日本では、人と動物が平和に共存して行く手段として、通りで暮らす犬や猫を避妊去勢したり、新しいオーナーを見つけたりして、通りで暮らす動物の数を減らす努力をしています。
もちろんここイスタンブールでもそうしているようですが、猫の数が多くて、増えることはなくても、減らすことは中々難しいよう。

ガラタ塔近くの猫。
ちょっと不細工だけど、ご愛嬌。
スタイルは抜群。

イスティクラール通りの猫。
まだ仔猫であどけない。

私が住む地域にも沢山の猫がいます。
でもトルコ人の友だちが言うには、ここの猫たちはケアが行き届いていて、幸せだと。
道のそこここには、通りの猫や犬が飲めるように、いつでも新鮮な水が置いてあるし、時間になると、餌やりの人を町のあちこちで見かけます。

今日買い物の際に、今年の春に生まれたキジトラのきょうだいが住むアパートの横を通ると、その一角には、雨風や寒さを防げるような小さな小屋のようなものが置いてありました。

私が気にしているキジトラの若い子。
元気に大きくなってね。

トルコ人は猫好きが多いと聞きますが、町を歩いていて特に目につくのが、猫好きの男性。
最近知り合った男性3人も、それぞれ4匹も猫を飼っているそう。
また町でもよく、ひげ面のお兄さんが、猫のご機嫌を取っている姿を見かけます。

おじさんたちも猫が好き。
猫も猫が好きな人を良く知っています。

これもまた、私がイスタンブールで大好きな側面の一つです。