2015年1月24日土曜日

People in Town -- 町のひとたち

今年のイスタンブールの冬は、「ものすごく寒い」冬になるはずだったのですが、ここ数日はまるで春のような暖かい日が続いています。
昨日も今日も、コートを着ていると汗ばむほど。
半袖の人や、素足にスニーカーなんていう出で立ちの子も、今日は沢山見かけました。


今日はヨーロッパサイドへ渡る用事があったのですが、地下鉄に乗っていたとき、隣の車両から3歳くらいの小さな子どもを連れた女性がやって来ました。
花柄のワンピースに、素足にサンダルと言う服装から、恐らくジプシー。
その女性はよく見ると20歳に行っているかいないかというほど若い女性で、お腹の膨らみ具合から、妊娠後期、もしかしたら臨月だったかもしれません。
連れていた幼い子も、その子の妹か娘か。


トルコ人は、バスや電車の中で年長者や女性に席を譲る人がとっても多い国、というか、それが当たり前の国で、私も何度かトラムヴァイや地下鉄で席を譲ってもらったことがあります。
最初は、すごくショックでしたが、友だち曰く、「女性だから」なんだそうです。
このときも、彼女が通り過ぎた後、若い男性が初老の男性に席を譲っていました。

けれど、誰も彼女には席を譲りません。

まるで彼女の存在に気付かないかのような、見えていないような、そんな雰囲気さえ感じると同時に、私自身も彼女の存在に気付いてはいても、見ないようにしている自分がいました。
目が合ったら物乞いされるんじゃないか、そんな気持ちがあったからかもしれません。
今の日本では生活の中に物乞いの人がいるなんてことは無いと思いますが、それが当たり前の生活の中では、物乞いされたらどうしようとか、可哀想といった感情が湧き上がる以前に、無意識に自分の中に入って来ないようにしているのかもしれません。

花売りのジプシーのおばちゃんとふれあう高校生たち。
こういう風景は心が暖かくなります。

無関心ではありたくないのですが、解決の答えが見つからない問題。
そしてそこから見えてくる、この問題の向こう側にある更なる問題。

以前シリアから避難してきた友だちが、「道で自分の国の避難民を見ると、目を背けてしまう」と言った意味が、少しだけですが分かるような気がしました。

今日の月。
ほそいほそい三日月。

路上で物乞いをする人たちの数は、私がイスタンブールに引っ越して来た2013年夏に比べ、劇的に増えています。
そのほとんどがシリアからの難民。
彼らが再び、故郷に帰ることができる日は、来るのでしょうか。

私はそんな日が一日も早く来てくれることを、祈っています。

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