土地はいくらでもあるけれど、 管理出来る範囲内で暮らす。 |
サーミ人のことを知ったのは、前回ラップランドを訪れた際に、今回滞在したイナリにある、SIIDAに行ったのがきっかけ。
イナリに着いて「サーミ人の今の生活を見てみたい!」とイナリのツーリストセンターでもあるVisit Inariで相談すると、月曜日にツアーがあると言われ、それに参加することに!
Mutus湖。 この湖にも聖なる岩があるそう。 かつて自然崇拝していた時代のなごりですね。 |
泊まっているホテルから車でおよそ20分のところにある、Mutus湖のほとりに、サーミ人のトゥーラさんの住む家はあります。
敷地面積はおよそ1.5平方キロメートル。
敷地には小さな家や畑、サウナなどがありましたが、その大部分は自分たちの食肉用に育てているトナカイを放牧する土地。
草をついばむ親子のトナカイ。 |
トナカイは人類が最も古く家畜化した動物の一つであり、食用としても、またそりを引く使役や荷役としても利用されてきました。
また寒さにとても強い動物で、マイナス70度まで耐えられるとか。
そして面白いことに、白夜と極夜のあるオーロラベルトに分布しているせいか、トナカイは体内時計を持たないそうなのです。
太陽が沈まない白夜でも、逆に太陽が昇らない極夜でも、彼らは太陽に左右されることなく生きられるよう、自然のリズムに順応していったのです。
すごい、トナカイ!
サーミ人の伝統的な冬のブーツ。 素材はトナカイ。全てハンドメイドです。 |
トゥーラさんのお宅で飼われているトナカイは食用なため、食べられるところはもちろん全て食べ、食べられない部位も、毛皮は敷物や靴、腱は靴を作る際の糸として使っているそうです。
私たちが訪れた際も、スネと頭の肉から作ったという煮こごりを食べさせていただきました。
味付けは?と聞くと、塩、コショウ、そして森で採れたハーブを少し、とのこと。
本当にシンプルな味付けですが、クセもなく美味しくいただきました。
トナカイのスネと頭の肉から作った煮こごり。 |
もちろん現在では、トゥーラさんのようにほぼ自給自足で暮らしているサーミ人は少なく、多くは私たちと何ら変わりのない生活をしているようです。
かつて『太陽の息子と娘』と言われ、自然を崇拝し、シャーマニズムの世界で生きていたサーミ人も、時代の変化とともに、宗教もライフスタイルも変えざるを得なかったのでしょう。
それが、生きるということなのでしょう。
伝統的なベルトを織る様子。 トゥーラさんはこういう作業よりも 外での作業が好きなんだそう。 |
けれどサーミ人のすごいところは、一度は国(ラップランド)を分断されたにも関わらず、その後国境を越え民族として団結し、現在では政治的立場を確立しているところです。
また彼らの母国語である『サーミ語』も、サーミ人の土地にある小中学校ではサーミ語で授業が行われているそうです。
母国語を失うことは、その民族のアイデンティティを失うことに繋がります。
ネイティブアメリカンをはじめ、多くの原住民がその母国語をを失うことで自分たちのアイデンティティを失い、文化や伝統を存続出来なかったことを思うと、サーミ人の自らの努力による民族の回復は、とても尊敬できることだと思います。
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