2015年9月6日日曜日

Hacıbektaş -- ハジベクタシュ

「いつ、タルススへ来るんだ?」

去年の秋、カズダーへ行った際に飛行機が大幅に遅れ、そのときに発券されたトルコ国内の無料航空券を利用して、よくご飯を食べに行くベジタリアンレストランのオーナー兼シェフの出身地タルススへ行こうと思っていたものの、タルススで女子大生がレイプされ殺害されるという事件があり、何となく行きそびれていたタルスス。

けれど、7月の終わりにそのレストランで友だちとご飯を食べているとき、以前紹介されたタルスス在住のその人にそう声をかけられ、「よし、行こう!」と決めた今回の旅。

旅を計画した時期がちょうど満月と重なったこともあって、ならば途中、何処か気持ちの向くところも、、、と、以前友だちとその友だちのお母さんから勧められた、ハジベクタシュへも行くことに。

Hacı Bektaş Veli

ハジベクタシュは、カッパドキアの側にあるネヴシェヒルという町から北へ50キロほど行ったところに在る町で、イスラム教アレヴィー派神秘主義者、ハジ・ベクタシュ・ヴェッリ(Hacı Bektaş-ı Veli)が14世紀に教えを説いたという聖地でもあります。

イスラム教アレヴィー派。
聞くところによると、イスラム教の教義にある礼拝や断食は強制的でなく、飲酒もオッケー、女性の服装も自由だし、普通は男女が分けられているモスク内の礼拝の場も、アレヴィー派は男女同じ場所で祈ることができる、ととても自由な宗派。
それ故、イスラム教でない、と言う人もいますが、アレヴィー派は第4代正統カリフであるアリーを崇敬する、立派なイスラム教宗派の一つ。

ハジ・ベクタシュ・ヴェッリ博物館
この日は『勝利の日』という祝日だったので、
大きな国旗が掲げられていました。

博物館の中にある、ハジ・ベクタシュのお墓。
女性の信者が圧倒的に多い。

アリーはイスラム教の預言者ムハンマドの娘婿で、預言者ムハンマドは彼のことをこう言ったそうです。

『私は知識の都であり、アリーはその門である』

そしてハジベクタシュやスーフィー教では、アリーは聖なる秘密やイスラム教の難解な意味を握っている人物と考えていたようです。
余談ですが、アリーはイスラム教のスンニ派とシーア派の両方から公認された唯一の指導者であるため、イラン・イラク戦争のときには、人々はアリーの肖像をお守り代わりに持っていたそうです。
国や宗派が相反していても、同じ人物を指導者として信仰しているものに対して、銃口は向けられない、ということからのようです。

博物館から2キロほど離れたところにある、嘆きの岩。
この中でお祈りをすると、災いから守られるとか。

そんなアレヴィー派の影響を強く受けているハジ・ベクタシュ・ヴェッリ。
彼は、『女性を教育しなさい。女性を教育しない民族は発展できない』と説いていたこともあって、ここに集まる人たちの中でも、女性の方が信仰が強いように感じました。

彼の教えの中でも私が好きなものを紹介します。

・その道を歩く者は、決して疲れることはない。
・あなたが探し求めるものが何であろうと、自分自身の内側を見なさい。
・もしその道が暗く見えるのなら、それはあなたの目がベールで覆われているからだ。
・たとえ自分が傷ついても、他人を傷つけてはならない。
・宗教間に差別は必要ない。宗教は人々の間に論争をもたらす。事実は、全ての宗教は地球の平和と兄弟愛を与えることをゴールとする。

他にも沢山あるのですが、これだけを読んでみても、宗教というものを客観的にみたとき、その根底にあるものは、何であろうと同じなのではないかと思います。
イスラム教というと、ISILをはじめとするイスラム教過激派の影響もあって、何か異質なものと勘違いされやすいと思いますが、ご存知のとおり、ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、信じている神さまは同じなのです。

けれどそれを『○○教』というくくりで自他を分け(差別し)、結局はハジ・ベクタシュも言っているように、それによって論争がもたらされているのが、今の世の中です。
私たちの将来が暗いものだと思う人は、ハジ・ベクタシュが言うように、その人の目がベールで覆われているからかもしれません。

パシャバーから見えた、ダブルレインボウ。

このとき、私の他には誰もおらず。

上の写真は、ハジベクタシュに行く前日、カッパドキアのパシャバーで見た虹。
「これから雷雨になるから、行くのは止めた方がいいよ」と宿の人に言われましたが、私には雨も雷も関係ないの!と言ってパシャバーに向かうと、到着して間もなく雷が鳴り、ふと目を向けた方角に、この虹が出始めたところでした。
そして、その直後から、激しい雨が降り始めそれまで沢山いた観光客はゼロに。
最後に大きな虹が現れたときには、誰もおらず、私はこの絶景を独り占め!

雨に太陽の光が反射して、本当にきれい!

ずーっと晴れの予報だったのに、突然の雷雨。
きっと何かいいことあるな〜、と思っていたら、やっぱり!のカッパドキアでした。


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2 件のコメント:

  1. 初めまして。
    私はGoogle+でクルドの人達と交流しています。トルコ南東部のクルド人居住区は写真で見ると、廃墟と化した街も多いようです。トルコに住んでおられるtamaさんから見て、この状況はいかがなのでしょうか。
    もうひとつ質問があります。例えば、クルド人でありアレヴィー教徒である人にとっては、クルド人という民族性が優先されるのか、あるいはアレヴィー派という宗教宗派が優先されるのか、どちらかなのでしょうか?

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    返信
    1. Yokooさま、
      初めまして。コメントありがとうございます。
      そして返信が遅くなってすみません。一度書いたのですが何故か消えてしまったようです。
      トルコ南東部のことですが、ここから状況を見る限り内戦状態にあるかのようです。ご存知のとおりトルコにおけるクルド人問題はとてもデリケートで、また私個人が意見をするには問題が複雑なため、申し訳ありませんがここでの発言は控えさせていただきたいと思います。
      またアレヴィー派のクルド人に関しては、私の周りにはこのことについて議論する人はいませんので、人それぞれなのではないでしょうか。私の印象ではもともと自由な宗派なので、『・・・ねばならない』ということは少ないように思います。
      ちなみに、メルシンにあるトロス大学にはアレヴィーの日本人の先生がいるようですよ。トルコ語ですが、参考までにリンクを貼っておきます。
      https://www.evrensel.net/haber/295069/alevi-bektasi-uygulama-ve-arastirma-merkezine-japon-mudur

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