建物が赤いことから、"Bloody Church"とも呼ばれています。 |
調べてみたら、イル・ハン国君主アバカに嫁いだビザンチン皇帝の娘、マリア・パレオロギナが、夫の死後イスタンブールに戻ったときに建てた教会がこの『モンゴルの聖マリア教会』。
この教会、ガイドブックにも載らないほど小さな教会なんですが、1281年の設立以来、一度もモスクなど他の用途に転用されることなくずっと教会としての活動を続けている唯一の教会なのです。
その教会のことをこの週末にふと思い出し、思い立ったが吉日、ということで、土曜日に行ってきました。
事前に情報をと調べてみたのですが、多くの人が教会とこの教会の近くにあるギリシャ正教神学校とを混同していて、結局はいつもの「現地で聞く」方法で教会を探すことにしました。
これが大勢の方がモンゴルの聖マリア教会だと思っている、 ギリシャ正教神学校。でもとても見事な建物です。 |
この教会は、イスタンブールの旧市街、Fener(フェネル)という場所にあります。
Fenerは、エミノニュからバスに乗って10分ほど。
住んでいる人に聞けば分かるだろう、と思い道行く人に聞くものの首を傾げる人ばかり。
迷いに迷って、最後は行きついた別の教会で道を教えてもらい、無事に到着!
Fenerの町並み。 古い建物は全て壊さず、ほとんどは内装と外壁を修復します。 |
100年以上経っている建物ばかり。 |
先に調べた情報に、この教会は一般公開されていないとあったので、恐る恐る入り口のベルを押してみると、トルコ人のおじさんが出て来てくれました。
「こんにちは。中を見学することは出来ますか?」とトルコ語で聞くと、「どうぞ」と。
後で分かったことですが、この方はこの教会の管理人で、教会は門こそ閉まってはいても、内部は見学もでき、日曜日はミサも行われているとのことでした。
正面の壁画。素朴。 カッパドキアの教会でも見られたように、 目が塗りつぶされた跡があります。 |
アヤソフィア博物館へ続く地下道の入り口。 |
入って左側、奥に見える穴がアヤソフィアへ続く地下道。 アヤソフィアまで5キロ。 |
まず私の目を引いたのは、床に開けられた入り口のような四角い穴。
聞くと、ここからアヤソフィア博物館まで続く地下道があるとのこと。
イスタンブールには地下宮殿があるくらいですから、主要な場所は地下で繋がっている、というのは本当なようです。
中に入ってみたいですか?と聞かれ、もちろん!と私。
入って左側にアヤソフィアに続く穴らしきものがあり、奥は貯蔵庫になっていました。
そして何故か壁に穴が空いており、そこから外を見ると、ある女性の姿が見えました。
地下の部屋から外を除くと、、、 |
覗き穴から見えたのはこの方、バーバラさん。 |
見えた女性はバーバラさんと言って、何でも婦人科の医者で、人々はトルコのあちらこちらから病気を治してほしいとお祈りに来るそうです。
そして入ったときから気になったのが、区切られた部屋にあった木版の上に描かれたマリアと天使の絵。
天からの光とつながるマリア、そして天使。
『受胎告知』だと思います。
木版に描かれた『受胎告知』? |
ここでハプニングが。
管理人のおじさんが突然、「お腹空いていないか?」と言い出しました。
え?と思って顔を見ると、窓から中庭を指差して、今、肉を焼いているから食べて行きなさいと。
ええ?と思い断ったのですが、おじさんは食べてほしいのか何度も聞いて来ます。
こういう流れになることも縁だろうと、じゃあお言葉に甘えて、というと、嬉しそうに教会内部の電気を消して、さっさと外へ行こうとします。
というわけで、見学はここでおしまい。
それからは、おじさんとおじさんのお友だちと3人でマンガル(トルコのバーベキューセット)を囲んで、お肉だけでなく、サラダやパン、それに何とトルコのお酒、ラクまでご馳走になりました。
実は結構警戒していたんですが、最後は近所の人が届けてくれた手作りのパンを持たせてくれ、またいつでもいらっしゃいと見送ってくれました。
夕暮れのFener。町の住民は宗教色の強い人が多い。 |
急な坂道。 眺めはいいけれど、住んだら上り下りが大変 |
Fenerはトルコの昔の面影が色濃く残っている地域なので、次回はそんな風景に興味のある友だちと来たいと思います。
そして帰り道。
ふらっと寄ったアンティークショップで、真鍮で出来たお皿と、青銅で出来た鐘を購入。
しかもたまたま居合わせた店主のおじさんが、びっくりするような値段で譲ってくれました。
店番をしていた店主の息子さんらしき人は、「お、おやじ!」と真っ青!
ふらっと寄ったアンティークショップ。 美しいオールドキリムも沢山ありました。 |
アンティークショップで買った2品。 |
この真鍮のお皿はいつ頃のものか定かではありませんが、ふちに彫ってあるシンボルがとっても興味深い。
これらは、何を意味するのでしょうか。
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