人通りの多い通りを抜けて、家に向かう裏道を歩いていたとき、反対側の歩道に白い杖をついて歩いている一人の年配の女性の姿が目に入りました。
時刻は21時。
街灯はあるものの、日本に比べたらずっと暗くて、人通りも少ない裏道。
実際はこれ以上に暗いかも。 しかも歩道を工事しているし。 |
杖を持ってはいるものの、まっすぐ歩けず、足取りもとてもゆっくり。
一人で歩くことに、余り慣れていないのかもしれません。
この裏道には点字ブロックもないし、その上トルコの歩道は概して工事が雑で、時にその凹凸につまずいて転びそうになることも。
それを想像したらそのまま立ち去ることができず、「一緒に歩きましょうか?」と声をかけました。
「あらー、ありがとう。でもね、私、散歩しているだけなのよ。だから大丈夫よ」と、その女性。
そうですか、人通りが少ない道を一人で歩いているから、ちょっと心配になって。
家は近いのですか?と聞くと、すぐそこだと。
名前を聞かれたので告げると、不思議そうな顔をするので、「私、外国人なんです」というと、「あらー、もしかして日本人?トルコ語上手ね。どこで習ったの?」
、、、と、しばらくその場で立ち話をした後、結局一緒に女性の家まで歩くことに。
私の腕をとり、時折立ち止まりながら、いつもなら2分もかからず歩く道のりを、ゆっくりゆっくり、その女性と15分以上かけて歩きました。
イスタンブールの出身だけど、祖先はコサーカス出身なこと。
日本とスイスに行ってみたいこと。
Barış(平和)という名前の息子さんが一人いること。
1999年にイスタンブールで起きた地震が怖くなかったこと。
地震は怖くないけれど、猫と犬が恐いこと。
ご近所の人とよく喧嘩をすること。
喧嘩をするとき、ときどき大声で叫ぶこと。
でもご近所の人が大好きなこと。
もちろん、けらけら、いたずらっぽく笑うので、喧嘩といっても深刻なものではなく、この女性にとっては、ちょっとした『社交』なのでしょう。
彼女の家の前について、お別れするとき、彼女が私のために祈ってくれました。
そして、「結婚は?」と聞くので、「独身ですよ」と言うと、「素晴らしい結婚相手に恵まれますように」みたいな内容のお祈りを最後にしてくれました。
ありがたいことです(笑)
日没直後のスルタンアフメットの空。 涼しくって、気持ちのよい夕暮れでした。 |
思い切って声をかけて良かった。
楽しいこと、幸せを感じることは、普段の生活のあらゆるところにあるのだと、気付かせてくれた時間でした。
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