2014年5月18日日曜日

ソマ炭鉱事故、その後

5月13日午後にマニサ県のソマ炭鉱で起きた事故から丸4日が過ぎました。

事故現場から運び出される生存者。
(写真はHurriyet Daily Newsより)

日本の現時点での最新のニュースでは、事故当時、炭鉱内には787人がおり、そのうち亡くなった方が301名、生存が確認された方は485人と発表されているようです。(1名不明)
しかしながら、『労働者の死者数は450人に上った。発表されている情報のほとんどは、トルコの現首相、エルドアン氏寄りのメディアから発信されている』と、Facebookで一人のトルコ人がそう書いているのが目に留まりました。
それを読む前にも、別のトルコ人が、『15日の夜にソマ炭鉱へ行った友だちによると、炭鉱内で火災が発生していて誰も中に入れない。実際の犠牲者は少なくても500人から600人のようだ』と発信していました。

(写真はIMC TVより)

犠牲者の数に何故こんなにも大きな開きがあるのか。
日本でも既に報道されていると思いますが、この炭鉱では低賃金で労働していた無登録労働者も数多くいたようで、その中には18歳以下の少年も含まれていたようです。

ソマ周辺の炭鉱の安全性や労働条件については、以前から議会での審問が要請されていたそうですが、与党であるエルドアン氏の所属するAKP(公正発展党)に却下され、今年の3月にこの炭鉱を対象に行われた労働社会保障省による定期検査では、違反はなかったとされています。
しかしながら、このソマ炭鉱には、炭鉱内に事故の際に避難出来る避難所が設置されていなかったという指摘もあります。危険を伴う現場であれば尚更労働者の安全は最優先されなくてはならないはずですが、多大な費用のかかる避難所を作らず、安全よりも利益を優先したことが、このような最悪の結末に繋がったことは明らかです。

5月17日午後、カドキョイでのデモ。
『ソマのために公平な裁きを!』

これら一連の流れの背景には、エルドアン氏やAKPと炭鉱企業との癒着があったことは、もはや疑う余地もありません。
また、ソマ炭鉱の事故の直後に、エルドアン氏が「炭鉱ではこのような事故はつきもの」と発言したことや、大声で抗議した事故の犠牲者の兄弟に対し、エルドアン氏の補佐官が暴力をふるった映像が報道されたことで、国民の政府に対する怒りは増々高まり、現在トルコ各地で抗議活動が行われています。

左の男性がエルドアン氏の補佐官。
(写真はロイター通信より)

トルコ政府は17日、ソマ炭鉱の捜索終了を発表しました。
先出のトルコ人の方の情報によると、『炭鉱の全てに水を入れ、穴を塞ぐ』とのこと。恐らく内部での火災が収まらないため、そのような措置を取るのかもしれませんが、身元の確認が取れていない労働者はどこに行ったのでしょう。もしまだ炭鉱内に取り残され、それを政府が隠蔽しようとしているならば、当然許されるべきことではありません。

カラキョイの各カフェに掲げられたポスター。
『ソマを忘れるな、忘れさせてはならない。』

国際労働機関 (ILO, International Labour Organization)の2012年度の統計によると、トルコは労働者の死亡率の高さで第3位。またトルコの炭鉱では2002年から2012年の10年間で、1000人以上が亡くなっているそうです。

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